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ホルモン補充療法、いつやめる?いつまで続ける?医師の言うことが違うのですが?

2021年9月16日

 

ホルモン補充療法を始めて、調子が良くなったけど「いつまで治療するのか?」聞いてみたら、「始めてから5年めどに」という医師もいれば「止めなくてもずっとしててもいい」という医師もいて、どっちが正しいのか?

 

患者側からすれば混乱しますよね。

 

いろいろな理由で、患者側から「もう続けられないな・・やめた方がいいのかな」と思うこともあり、「どうしたらいいのだろう?」という疑問に対して、別なコラムに書いています。

メノエイドコンビパッチの治療をやめようかと悩んでいる方へ

 

しかし、こちらは続ける気満々なのに、医師の方から「そろそろやめましょう」と言われたらどうすれば良いでしょう?

 

私も経験があります。

 

治療を始めて調子もよくトラブルもないので、いつものようにお薬をもらいに行きましたが、

いきなり「3年経ったから、やめましょう、今日は量を減らして出しますね」と言われました。

 

「なぜ、いま調子がいいのにやめなくてはいけないのですか?」と聞いたら、「乳癌になるっしょ!」北海道弁丸出しで怒られました。

 

ホルモン補充療法ガイドラインでも、5年は一区切りですが、5年で止めなくてはならない、いつまでも続けることはできないという記述はありません。

 

まして、3年で乳癌になるのを予防するのに治療を中止するなんて一言も書いていません。

 

この先生は、ホルモン補充療法ガイドラインを読んでいないのだな・・と思って、医師を替えました。

 

始めるときは、きちんと乳癌のリスクに関して説明してくれたのですが。

 

ホルモン補充療法ガイドラインでの記述について詳しくは、後程書きますね。

 

 

病院を受診して、ホルモン補充療法について医師から始めるための説明はあったとしても、なかなか終わりまでの話はないものですね。

 

実際の答えは、「いつやめてもいいし、いつまでやっててもいい」です。

 

そんなアバウトな・・ですよね (笑)

 

他の薬と違って、元々体に存在した成分(女性ホルモン)を、量が減ったので補充するだけで、急にやめても深刻な害がおきることはありません。

 

考えられる4つのパターンについてお伝えします。

 

①ホルモン補充療法を始めたけど、効果を感じられないとか、胸が張って辛い・・とか、パッチの薬だけど皮膚が負けるので、やっぱりやめようかな・・というのであれば、その時点でやめても大丈夫です。

 

ただ、落ち着いていた更年期障害の症状は、また現れる可能性は大きいですね。

 

そのデメリットと治療を続けるデメリットのどちらが大きいか・・を考えます。

 

 

②更年期症状が落ち着いてきて、楽になったからもう治療をやめようというのも選択肢のひとつです。

 

更年期は閉経の前後5年間の約10年ですから、閉経後5年位経てば症状が落ち着いてくることが多いですね。

 

症状が落ち着いたからと、やめるのもありです。

 

もし、やめたけど症状がぶり返してきて辛いから、また始めようかな・・もOKです。

 

 

 

③治療開始後めやす5年でやめる。

 

ホルモン補充療法ガイドライン2017年度版P143の中にも「HRTはいつまで継続可能か?」という記述があります。

 

「WHIでは5年以上のHRT継続で乳がんリスクが有意の上昇を示したことから本ガイドラインでは5年以上の継続の行う場合には再度乳癌リスクについて説明し継続については同意をとることとした」とあります。

 

医師からの説明を受けて、乳癌リスクが多少なりとも上がるのであれば、やめるという選択肢になります。

 

ただ、ガイドラインには続けて

 

「しかし、HRTには骨代謝や脂質プロファイルに対するベネフィットがあり、長期の施行も考慮される」とあります。

 

また、「すなわち、HRT施行の明確な目的があり、ベネフィットとリスクを上回る場合には、患者が継続を望んでおり、リスクについてインフォームドコンセントが取れていれば、いつまでも継続は可能であるといえる。ただし少なくても1年に1度、あるいは来院ごとに、患者とその症例におけるHRT継続の必要性とリスク評価を共有すことが必要である」とあります。

 

つまり④いつまでもやめない、続けるという選択肢です。

 

ただし、血栓症や乳癌のリスクは、ホルモン補充療法を受けていなくても年齢とともに高くなります。

 

そこは、医師によく相談してみるといいと思います。

 

日本更年期と加齢のヘルスケア学会理事長の小山崇夫先生は、HRTをすることで骨粗鬆症にならず、動脈硬化も起こさず、生活習慣病も予防できているのに、HRTをやめて骨粗鬆症を起こす、動脈硬化を進める、生活習慣病になるような、わざわざ状態を悪くする必要はないと、以前話されていました。

 

更年期症状が落ち着いても、更年期を過ぎても、死ぬまで続けてもいいことになります。

 

老人性膣炎、萎縮性膣炎を予防できますし、アルツハイマーの発症の予防(研究が継続されていて予防にならないということも言われていますが)にもなると言われていますので、老年期の健康につながることになります。

 

ただ、保険診療としていつまで認めれるかが、いまのところ不明です。

 

ホルモン補充療法はそもそも高価ではないのですが、自費になると1ヶ月1万円ほどですかね。

 

いろいろな病気になっての薬代とどちらが高いのか?と考えてみてもいいでしょう。

 

私は健康でいられるなら、他の病気に罹って通院や服薬をするよりも、多少高くてもホルモン補充療法代を払うほうがいいかな・・と、今のところ考えています。

 

私は、ホルモン補充療法開始から8年、63歳、更年期は卒業し症状はほとんどありませんが、今の担当の先生に「続けていたい」と伝えて治療を続行しています。

 

死ぬまでかは、今のところ不明ですが、少なくてもこの仕事をしている間は健康でいたいから続けていようと考えています。

 

それは、主治医の先生とも話をしていて、「QOLを良くするために治療を続ける」ということで一致しています。

 

 

どの薬もそうですが、自己判断ではやめずに、担当の医師と相談してからやめてくださいね。

 

 

 

お悩みのかたがいれば、ハイジアではご相談をお受けすることができます。

更年期でお悩みの方へ

 

 

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ハイジア 佐藤みはる

女性の更年期と更年期以降の健康をサポート・ハイジア代表  助産師・ウィメンズヘルスアドバイザー・メノポーズカウンセラー・分子栄養学アドバイザー。 助産師として大学病院に33年間勤務する。 2013年に退職しハイジアを開業。

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