コラム 更年期症状

この不調は更年期?気象病?──見逃せない病気のサインと症状の見分け方

 

 

更年期と気象病──重なる症状と、見逃してはいけないサイン

「最近、急に寒くなって体がついていかないー」

「頭がぼーっとして、もしかして認知症の始まりかも…?」

「だるくて眠くて、何かの病気かと不安になる」

そんな声が増えてきたのを感じます。

実際、寒暖差が大きい季節の変わり目には、多くの方が体調の変化を訴えます。

そして、その症状の正体が“更年期症状”なのか、“気象病”なのか、“別の病気の前触れ”なのか、判断に迷うことも少なくありません。

更年期症状は200~300あると言われていて、場合によっては病気の症状と一致するようなこともあります。

 

昨今、更年期に関する情報があふれているように感じます、10年前には想像できなかった状況です。

その一方で、「この不調はきっと更年期のせいだから我慢しよう」とか「そのうち治るだろう」と思ってしまい病気に気が付くのが遅くなるのでは・・という懸念ももっています。

気象病についても情報があり、「気象病だわ、きっと」と思ってしまう可能性もあります。

更年期以降は、様々な病気にかかりやすくなるので、なお一層心配性な私は危惧しています。

そこでここでは、更年期と気象病に共通する症状と、注意すべき見落としについてお伝えします。


気象病とは──天気が体に影響を与えるメカニズム

「気象病」とは、気圧・気温・湿度の変化などによって生じる体調不良の総称です。

別名「天気痛」とも呼ばれ、特に女性に多く見られます。

気象病の代表的な症状には以下のようなものがあります:

  • 頭痛・片頭痛

  • めまい・耳鳴り

  • 関節痛・古傷の痛み

  • 倦怠感・眠気

  • 気分の落ち込みや不安感

近年、自律神経の乱れとの関連が注目されており、以下のようなことがわかってきました。

気圧の急激な変化が**内耳のセンサー(気圧センサー)**に影響を与え、脳にストレス反応を引き起こすことで症状が現れると考えられています

(1)引用:愛知医科大学 学際的痛みセンター 村上温夫教授
「気象病は、気圧変化が内耳の前庭神経に影響を与え、自律神経を介して痛みや不調を引き起こす」
──NHK「チョイス@病気になったとき」より(2020年6月放送)


更年期症状との共通点

更年期に現れる症状と、気象病の症状は非常によく似ています。実際に、以下のような症状は両方に共通しています

症状 気象病 更年期
頭痛・頭重感
めまい・ふらつき
倦怠感・眠気
イライラ・不安感
集中力の低下・ぼーっとする
古傷の痛み

更年期は、エストロゲンの減少により自律神経のバランスが崩れやすくなる時期です。

一方、気象病も自律神経の過敏さが影響するため、両者の症状が重なるのは当然ともいえます。


更年期の知識が広がった今、見落としがちなリスク

情報が多くなった今、「これって更年期かも」と自己判断することは以前より増えています。

これは決して悪いことではありません。

ですが、その一方で「更年期だから仕方ない」「気圧のせいだから、寝ていれば治る」―と、本来なら医療機関を受診すべき状態を見逃してしまうケースも報告されています。

本来病院へ行くのは嫌ですから、変だなと思っていても、真実を避けてしまうこともありますよね。

でも、以下のような状況は更年期症状と似ていても、別の病気の可能性があります:

  • 記憶力や判断力の著しい低下 → 認知症の初期症状

  • 頭痛に加えて手足のしびれ → 脳血管障害

  • 強い倦怠感と動悸 → 甲状腺疾患や貧血、心不全

  • 気分の落ち込みが数週間以上 → うつ病

症状が一時的ではなく継続的・悪化傾向にある場合や、日常生活に支障が出ている場合は、早めに医療機関での相談をおすすめします。


自分の「違和感」を信じる

更年期や気象病のように、はっきりと原因がわからない体調不良に対して、私たちは「気のせいかも」「年のせいかも」と自分の感覚を否定しがちです。

でも、身体が出してくれるサインには意味があります。

「いつもと違う」


「なんだか変だ」


「おかしいと感じる」

そんな小さな違和感を見過ごさないのが、自分の健康を守る第一歩です。


体調管理に役立つツールと習慣

最近では「頭痛ーる」など、気圧の変化を予測してくれる便利なアプリも登場し、多くの方が活用しています。

自分の不調と気圧変化の関係を把握することで、「今日は無理しない日」といったセルフマネジメントがしやすくなります。

また、以下のような習慣もおすすめです:

  • 起床後にゆっくりストレッチ

  • 天気に関係なく一定の睡眠リズムを保つ

  • 白湯や温かいスープで体を内側から温める

  • 日記やアプリで体調を記録する

これらの工夫は、気象病・更年期どちらのケアにも共通して効果的です。


まとめ:更年期だからこそ、「疑う力」も持っていたい

更年期は、心と体にさまざまな変化が現れる人生の大きな節目です。

その一方で、今までにはなかった不調が次々と現れるために、他の病気と重なってしまったり、大切なサインを見逃してしまうことも。

情報が増えた今だからこそ、

  • 「これは更年期だから大丈夫」

  • 「きっと気圧のせい」

と安心するだけでなく、

  • 「いつもと違う気がする」

  • 「もしかしたら別の理由かも?」

と、自分の感覚を信じて疑う力も忘れずに持っておきたいものです。

誰よりも自分の身体の専門家であるのは、自分自身。


気象病でも、更年期でも、どちらでもないとしても、今の不調に向き合うことはきっと未来の自分を守ることにつながっていきます。

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ハイジア 佐藤みはる

女性の更年期と更年期以降の健康をサポート・ハイジア代表  助産師・ウィメンズヘルスアドバイザー・メノポーズカウンセラー・分子栄養学アドバイザー。 助産師として大学病院に33年間勤務する。 2013年に退職しハイジアを開業。

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