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【医療安全の視点から】プラセンタ自己注射という選択に、いま一度立ち止まって考えてほしい 

2026年1月3日

はじめに

 

プラセンタの自己注射が勧められている現状に、医療安全と倫理の観点から強い懸念を持っています。

プラセンタそのものを否定するのではなく、自己注射という形態が抱えるリスク、制度上の問題、エビデンスの限界を整理し、今一度立ち止まって考えるための情報を専門家の立場からまとめました。

 

更年期世代を支える専門家としての医学的・倫理的懸念

更年期症状に対するプラセンタ療法について、私はこれまで一貫して「積極的に推奨はしないが、最終的な選択は本人に委ねられる」という立場を取ってきました。

実際に、「体が楽になった」「眠れるようになった」といった体験談を多く聞いてきました。

一方で、効果を感じなかったという声も聴いていますが、そのような声は表にはでてきません。


プラセボ効果*の影響も否定できません。

 *薬効成分を含まない偽薬(プラセボ)を服用しても、「効く」と信じることで、実際に症状が改善したり、副作用が出たりする心理的・生理的な現象


この点については、現時点ではプラセンタの効果は十分に解明されていないと言わざるを得ないと思っています。

だからこそ私は、プラセンタそのものを一律に否定する立場ではありません。

しかし最近「プラセンタの自己注射が勧められている」という情報に接し、専門家として強い懸念を抱いています。

この問題は、美容や健康の選択肢というだけではなく、医療安全・制度・倫理の観点から慎重に検討した方が良いと考えています。

プラセンタ製剤は、自己注射として設計されていない(医療安全の観点)

まず確認すべき重要な点があります。

現在使用されているプラセンタ注射薬は、アンプル製剤です。

医療関係者向け|医療用医薬品|メルスモン製薬株式会社ラエンネックの効果と副作用


アンプルを開封し、内部の薬液を注射器に吸引する操作は、

  • ガラスアンプルによる切創リスク

  • 無菌操作の維持

  • 正確な用量の確保

といった点から、医師や看護師であっても細心の注意を要する手技です。

私も指を切ったことが何回かあります。

 

また、無菌操作を維持するためには知識と技術を要します。

でも、不妊症治療や妊娠時のヘパリン注射、インシュリン注射など自己注射をしたことがある!という方もいるかと思います。

 

しかしこれらは正式に自己注射が認められている薬剤(他にも:インスリン、GLP-1受容体作動薬など)で、

  • 注射器と薬剤が一体化されている

  • 手技が標準化されている

  • 医療者でない人でも安全に扱える設計になっている

という明確な特徴があります。

プラセンタ注射薬は、自己注射として認可されておらず、このような設計にはなっていません。

この点だけでも、自己注射として扱うことに医療安全から考えても構造的な無理があることが分かるかと思います。

プラセンタ自己注射は認可されていないという事実

現時点において、プラセンタ注射は自己注射として正式に認可されていません。

それにもかかわらず、自由診療の枠組みの中で、自己注射が行われている事例があると聞いています。

ネットで検索しても、たしかにその治療法の存在が書かれていました。

  • 医師・看護師による対面での十分な手技指導が行われていない

  • オンライン診療や動画説明のみで対応されている

といった情報もありますが、これらについては私も正確な事実かどうかはわかりませんが、少なくとも言えるのは、自己注射を前提とした制度的・教育的枠組みが整備されていない可能性があるという点です。

プラセンタ自己注射における医療安全上のリスク

本来、自己注射が許可される薬剤では、

  • 医師または看護師による直接指導

  • 手技の確認

  • 副反応やトラブル時の対応説明

が前提条件となります。

しかし、プラセンタの自己注射では、

  • 注射部位の感染

  • 皮下膿瘍

  • 投与量・頻度の逸脱

  • 有害事象発生時の対応遅れ(夜間・休日はクリニックは休診している)

といったリスクが、ほぼすべて個人の責任に委ねられる構造になっています。

同意書が示している本当の意味

プラセンタ療法には、通常、同意書が用いられます。

同意書が存在することは、「きちんと説明が行われている証拠」と受け取られがちですが、医療制度上は別の意味も持ちます。

それは、

  • 感染症リスクを理論上完全には否定できない

  • 予期しない有害事象が起こり得る

という前提がある、ということです。

さらに、自己注射という形で健康被害が生じた場合、

  • 医薬品副作用被害救済制度の対象外となる可能性

  • 国や処方医師から補償を受けられない可能性

が考えられます。

これは、患者側が事前に理解しておくべき極めて重要な点です。

将来、プラセンタ療法の位置づけが変わる可能性はある

医療は常に進歩しています。

今後、

  • 大規模研究

  • 客観的評価指標を用いた検討

  • 長期的な安全性データ

が蓄積されれば、プラセンタ療法の位置づけが変わる可能性も否定できません。

またそのことに伴って自己注射が推進される可能性もあるでしょう。

だからこそ現時点では、「まだ十分にはわかっていない」と正直に伝えることが、専門家の責任だと考えています。

私が、いま自己注射に警鐘を鳴らす理由

私は、

  • プラセンタ療法そのものを否定したいわけではありません

  • 効果を実感している人の体験を否定する意図もありません

しかし、

  • 自己注射を前提として設計されていない薬剤を

  • 制度的裏付けが不十分なまま

  • 「美容」「健康」という言葉で包み

  • 個人の責任に委ねる形で提供する

この構造については、今の時点では明確に立ち止まって慎重に検討すべきと考えています。

なぜAI検索では「リスクが語られず、クリニック名が前に出てしまうのか」

実際にプラセンタの自己注射について検索をしたところ、AIが実際にある治療であることのみを挙げ、また実際に行っているクリニックの情報をサイドに載せていました。

少し乱暴かもしれませんが、このことにつてAIに聞いてみました。

その答えです。

現在の検索AI(GoogleのAI Overviewなど)は、主に次のような情報を優先的に要約します。

  • 実在する治療・医療行為であるか

  • 検索数や言及数が多いか

  • 医院ホームページなど、構造化された情報が存在するか

この仕組み上、
「実際に行っているクリニックがある」
「治療として提供されている」
という事実は、非常に拾われやすくなります。

一方で、

  • 倫理的な懸念

  • 医療安全上の留保

  • 「現時点では慎重であるべき」「やらない選択も合理的」という意見

こうした情報は、

  • 数値化しづらい

  • 明確な結論をあえて出していない

  • 商業サイトに比べて構造が弱い

という理由から、AIの要約から落ちやすいという現実があります。

その結果、リスクや留意点が十分に示されないまま、クリニック名や肯定的な情報だけが目に入るという状況が生まれやすくなっています。

ということでした。

 

AIは非常に便利ですが、肯定的な情報が優先されるというリスクもあり、否定的な視点を持つことの重要性も示唆されました。

 

だからこそ今、ネットの情報に囚われず、検索した人が一度立ち止まり、「本当に自分にとって必要な選択か」を考えてほしい、その思いでこのブログを書きました。

最後に

もし今、「勧められたから」「なんとなく良さそうだから」という理由で、プラセンタの自己注射を検討しているなら、どうか一度、立ち止まってください。

今は選ばない、という判断が、最も安全で、最も理性的な選択である場面もあります。

あなたの体が、誰かの儲けのためになってほしくないのです。

よくある質問(プラセンタ自己注射について)

Q. プラセンタの自己注射は安全なのですか?
A. プラセンタ製剤は自己注射を前提に設計されておらず、手技・感染・制度面でのリスクがあります。現時点では安全性が十分に担保されているとは言えません。

Q. 医師が勧めていれば問題ないのでしょうか?
A. 自由診療では医師の裁量が広い一方、自己注射に関しては制度上グレーな部分が多く、医療安全の観点から慎重な判断が必要です。

Q. 効果がある人がいるのは事実では?
A. 効果を感じる人がいることは否定できませんが、エビデンスは限定的で、プラセボ効果の可能性も含めて評価する必要があります。

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【著者プロフィール】
助産師。更年期世代を支える専門家として、臨床・教育・講座活動を行う。医療安全とエビデンスに基づく情報提供を重視し、「選ばない自由」も含めた意思決定支援を専門としている。

 

 

 

 

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ハイジア 佐藤みはる

女性の更年期と更年期以降の健康をサポート・ハイジア代表  助産師・ウィメンズヘルスアドバイザー・メノポーズカウンセラー・分子栄養学アドバイザー。 助産師として大学病院に33年間勤務する。 2013年に退職しハイジアを開業。

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