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更年期が職場に与える影響とは ― 健康経営×性差から考える、これからの企業の役割

はじめに

更年期は誰にとっても避けられない健康課題であり、職場の生産性・離職率・人材活躍に直結します。

本記事は、健康経営担当者・人事・管理職が今すぐ理解すべき「性差による健康課題」の全体像と具体的な対応を解説します。

健康経営で避けて通れない「性差による健康課題」

――更年期が職場に与える本当の影響とは

健康経営が広がる中で、「メタボリック症候群の予防」「メンタルヘルス」「働き方改革」など、さまざまな取り組みが進んできました。

しかしその一方で、性差による健康課題、特に更年期の問題(男女とも)は、最近注目はされつつあるものの十分に扱われているとは言えないのが現状です。

更年期は一部の人だけに起こる特別な問題ではありません。

女性では45〜55歳頃、男性でも40歳以降、誰にでも起こりうるライフステージの変化です。

そしてこの時期は、多くの人が仕事の中心的な役割を担っている年代でもあります。

更年期症状は「個人の不調」ではない

更年期に起こる心身の変化は多岐にわたります。

ほてり、動悸、発汗、不眠、疲労感、集中力の低下、気分の落ち込みなど、症状の現れ方や強さは人それぞれです。

令和5年度 男女の健康意識に関する調査 報告書では、**更年期症状があると答えた人のうち、男女とも約8割が「生活や仕事に支障がある」**と回答しています。

さらに、仕事のパフォーマンスについては、半数近くが「5割程度まで低下している」という結果も出ています。

これは8時間でできた仕事が16時間かかる、一人でできた仕事が二人必要ということです。

しかし、これは、本人の努力や気持ちの問題ではありません。

ホルモン変動に加え、仕事上の責任増大、家庭での役割変化、介護など、複数のストレス要因が重なる時期であることが大きく影響しています。

更年期が職場の生産性や離職に与える影響は想像以上に大きい

更年期症状による影響は、単なる体調不良にとどまりません。

・ミスが増える
・集中力が続かない
・やる気が出ない
・人間関係がうまくいかなくなる
・休職や離職につながる

実際に、

NHK「更年期と仕事に関する調査2021」では更年期症状が原因で仕事を辞めた人が約1割近く存在するという結果でした。

これは企業にとって、貴重な経験値を持つ人材の喪失であり、採用・育成コストの面から見ても大きな損失です。

また、経済産業省の試算では、女性特有の健康課題による経済損失は年間3.4兆円、男性で年間1.26兆円とされており、大きな損失になっています。


いまや更年期への対策は、個人の福利厚生ではなく、企業経営そのものに関わる課題と言えるでしょう。

更年期と月経の不調を「我慢」させない職場とは

月経や更年期に伴う不調について、「周囲に迷惑をかけたくない」「言い出しづらい」「評価が下がるのではないか」と感じ、多くの人が我慢しながら働いているのが実情です。

実際、月経時の不快な症状があっても、約6割以上の女性が我慢して仕事をしているという調査結果があります

こうした「見えない不調」は、本人だけでなく、チームや職場全体の生産性にも影響を及ぼします。

男性更年期も含めた「性差」の視点が不可欠

更年期は女性だけの問題ではありません。


男性も加齢やストレスにより、テストステロンが低下し、抑うつ、不安、意欲低下、集中力低下などの症状が現れることがあります。

しかし男性の場合、更年期に対する認知度が低く、本人も周囲も気づきにくいという特徴があります。

その結果、「怠けている」「性格の問題」と誤解され、職場で孤立してしまうケースも少なくありません。

健康経営においては、女性・男性のどちらかに偏らず、性差を踏まえた健康理解と支援が欠かせないのです。

健康経営で求められる更年期支援とは(制度ではない実践)

企業に求められているのは、特別な制度を急に増やすことではありません。

・正しい知識を共有すること
・安心して相談できる環境をつくること
・勤務時間や業務内容を柔軟に調整できる選択肢を持つこと

調査でも、当事者が職場に求めている支援の上位は、「職場全体への研修」「性別に関係なく相談できる環境」でした。

つまり、知識と理解があるだけでも、防げる問題は多いのです。

更年期に配慮した職場は、誰にとっても働きやすい

更年期への取り組みは、特定の人だけを守るものではありません。

体調に配慮し合える職場、無理をしなくてよい風土は、若手社員、子育て世代、介護を担う人、病気を抱える人など、すべての働く人にとっての安心につながります。

女性が働きやすい職場は、結果として誰もが働きやすい職場になります。

それこそが、健康経営の本質ではないでしょうか。

よくある質問

Q1. 更年期はなぜ健康経営の課題になるのですか?

A.
更年期は一部の人の不調ではなく、働く世代の多くが経験するライフステージの変化です。
集中力低下や疲労感、メンタル不調は仕事のパフォーマンスや離職に影響するため、健康経営の視点で捉える必要があります。

Q2. 更年期は女性だけの問題ではないのですか?

A.
いいえ、更年期は女性だけの問題ではありません。
男性も加齢やストレスによりホルモンが低下し、意欲低下や抑うつなどの不調が現れることがあります。
性差を踏まえた理解が、職場全体の健康支援につながります。

Q3. 更年期症状は仕事の生産性にどのような影響がありますか?

A.
更年期症状があると、集中力の低下やミスの増加、意欲の低下が起こりやすくなります。
調査では、症状がある人の多くが「仕事や生活に支障がある」と感じており、生産性低下は個人ではなく組織全体の課題といえます。

Q4. 企業は更年期に対して何から取り組むべきですか?

A.
まず必要なのは、特別な制度ではなく「正しい知識の共有」です。
職場全体で性差や更年期への理解を深め、安心して相談できる環境を整えることが、離職防止や職場の安定につながります。

Q5. 管理職は更年期の部下にどう対応すればよいですか?

A.
更年期を決めつけたり、個人の問題として扱うことは避ける必要があります。
体調への配慮を示し、業務調整などの選択肢を共有することで、信頼関係を保ちながら働き続けられる環境をつくることができます。

まとめ

性差による健康課題、とりわけ更年期は、個人の不調ではなく職場の生産性・離職防止・健康経営上の重要テーマです。

性差・更年期・健康経営の理解を深めることで、持続可能な組織づくりが可能になります。管理職・人事は具体的な支援策を検討すべきです。

管理職の方へ

更年期は個人の問題ではなく、職場の生産性や人間関係に影響する組織課題です。

性差による健康変化を正しく理解し、部下への配慮や対応のポイントを知ることで、離職防止と働きやすい職場づくりにつながります。

本テーマでの管理職向け講演・研修のご相談は こちら

人事・健康経営担当の方へ

性差による健康課題、特に更年期は、離職やパフォーマンス低下に直結する健康経営上の重要課題です。

制度だけでなく、知識共有と職場の理解を進めることで、持続可能な組織づくりが可能になります。

  本テーマでの管理職向け講演・研修のご相談は こちら

  講演活動の実績 こちら

【著者プロフィール】
健康経営における性差と更年期課題を専門とし、医療と職場をつなぐ視点で研修・講演を行う助産師。また更年期世代を支える専門家として、臨床・教育・講座活動を行う。医療安全とエビデンスに基づく情報提供を重視し、「選ばない自由」も含めた意思決定支援を専門としている。

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ハイジア 佐藤みはる

女性の更年期と更年期以降の健康をサポート・ハイジア代表  助産師・ウィメンズヘルスアドバイザー・メノポーズカウンセラー・分子栄養学アドバイザー。 助産師として大学病院に33年間勤務する。 2013年に退職しハイジアを開業。

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