
更年期は女性の誰にでも起こる自然な変化ですが、現れる症状やその強さは人によって大きく異なります。
「これも更年期の症状なのだろうか」と戸惑ったり、不安を感じたりする方も少なくありません。
身体の不調だけでなく、気分の変化や仕事・家庭生活への影響など、生活全体に関わる問題として感じられることもあります。
この記事では、更年期にみられる代表的な症状を整理し、タイプ別の特徴や対処の考え方について助産師の視点から解説します。
更年期症状とは?なぜ起こるのか
更年期症状の背景には、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌低下があります。
エストロゲンは骨や血管、皮膚、脳、自律神経など全身に作用しているため、その変化はさまざまな形で現れます。
また、更年期の時期は仕事や家庭の役割変化、親の介護、子どもの独立などライフイベントが重なることも多く、心理的な影響も受けやすい時期です。
そのため、更年期症状は単なる身体の問題としてだけでなく、生活への影響あるいは家庭への影響、社会への影響を理解することが大切です。
(※更年期の始まりについては「更年期は何歳から始まる?」の記事も参考になります)
エストロゲン低下による症状と自律神経のアンバランスによる症状
更年期症状はその成因によって大きく2つに分けられます。
エストロゲンが低下し、その作用がなくなったことによる症状と、エストロゲンが低下することによって自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが崩れることによっておこる症状です。
エストロゲン低下による症状
| 分類 | 主な症状 | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| エストロゲン低下による症状 | 骨量低下 | 骨代謝にエストロゲンが関与するため、閉経前後から骨密度が低下しやすくなる |
| 関節痛・手指のこわばり | 組織の潤滑性低下や炎症調整機能の変化が関係すると考えられる | |
| 皮膚や粘膜の乾燥 | コラーゲン減少や水分保持力低下の影響 | |
| 性交時痛・腟乾燥 | 泌尿生殖器症候群(GSM)の一部としてみられる | |
| 脂質代謝の変化 | LDL増加など動脈硬化リスク上昇につながることがある | |
| 認知機能の変化(個人差あり) | 神経保護作用の変化が関与すると考えられている |
エストロゲンが減少して起きる症状なので、ホルモン補充療法やエクオールなどエストロゲン様作用をするサプリメントで補わない限り持続する症状です。
時間が経過しても良くなることはないので適切な対処や治療が必要になります。
自律神経のアンバランスによる症状
| 分類 | 主な症状 | 背景・特徴 |
|---|---|---|
| 自律神経のアンバランスによる症状 | ホットフラッシュ | 体温調節機能の不安定化により突然のほてりや発汗が起こる |
| 動悸 | 交感神経優位状態によって心拍の自覚が強まる | |
| 不眠 | 睡眠リズムや深睡眠の低下がみられることがある | |
| めまい・ふらつき | 血圧調整や内耳機能への影響が関与する場合がある | |
| 頭痛 | 血管収縮・拡張の調整変化が関係すると考えられる | |
| イライラ・不安感 | 自律神経と情動調整機能の関係による | |
| 強い疲労感 | 回復力低下や睡眠の質低下が影響することが多い |
自律神経の交感神経と副交感神経のバランスが崩れて生じる症状です。時間の経過、約5年ほどで消失すると言われています。
昼は動いて交感神経を優位にし、夜は寝て副交感神経を優位にさせることが大切で、生活習慣を整えることで症状が改善してくる可能性があります。
またリラックスする、ストレスを軽減することも有効なので補完代替療法などの活用も考えられます。
受診の目安
- 日常生活や仕事に大きな支障がある
- 強い抑うつや不安が続く
- 胸の痛みや強い動悸がある
- 急激な体調変化がある
このような場合は、更年期と決めつけず医療機関への相談を検討しましょう。
症状別に鑑別すべき疾患と受診する時の診療科をあげておきます。
鑑別して疾患でなければ、更年期症状になります。

更年期の不調と受診の目安
様子を見てもよいことが多い症状/早めに受診したい症状
| 症状の種類 | 様子を見てもよいことが多い場合 | 早めの受診を考えたい場合 |
|---|---|---|
| ほてり・発汗 | 一時的に起こり数分で落ち着く/日常生活に大きな支障がない | 発作が長時間続く/頻度が急に増えた/体重減少や発熱を伴う |
| 動悸 | 緊張やストレス時に短時間起こる/自然に改善する | 安静時にも強く続く/胸痛・息切れ・失神を伴う |
| 疲労感 | 休養である程度回復する/生活リズムの乱れと関連している | 強い倦怠感が持続する/発熱・体重減少・むくみを伴う |
| 関節痛・手指のこわばり | 朝に軽いこわばりがあり動くと軽減する | 腫れや強い痛みが続く/発赤・発熱を伴う |
| 気分の落ち込み・不安 | 気分の波があり日によって変動する | 強い抑うつ状態が続く/不眠や食欲低下が著しい/自分を傷つけたい気持ちが出る |
| 不眠 | 一時的な寝つきの悪さ/環境やストレスの影響が考えられる | 眠れない状態が長期間続く/日中の生活に支障が大きい |
| めまい | 短時間のふらつき/疲労時に起こる | 回転性めまいが強い/手足のしびれ・言葉のもつれを伴う |
| 頭痛 | 軽度で市販薬や休息で軽快する | 突然の激しい頭痛/これまでと違う痛み/視野異常を伴う |
| 出血 | 閉経前の周期の乱れによる少量出血 | 閉経後の出血/出血量が多い/長期間続く |
更年期の時期はホルモン変化による不調だけでなく、他の疾患が重なって起こることもあります。
「いつもと違う」「急に悪くなった」と感じる場合は、更年期と決めつけず相談することが大切です。
救急車を呼んだ方が良い場合もあります。心配な時は7119で相談してみても良いでしょう。
更年期症状への対処の考え方
更年期症状への対処は一つではありません。
- 睡眠や運動など生活習慣の見直し
- 必要に応じたサプリメントの活用
- 医療的な治療
など、複数の選択肢があります。
例えば、更年期サプリとして注目されるエクオールについても、自分に必要かどうかを考える視点が大切です。
(※エクオールについて詳しくは関連記事を参考にしてください)
よくある質問 Q&A
更年期症状はいつから始まりますか?
更年期症状は閉経の前後約10年間に現れやすいとされています。
多くの場合40代後半から変化を感じ始めますが、早い人では40代前半から不調を感じることもあります。
症状の出方や強さには個人差があります。
更年期症状はどのくらい続きますか?
症状の期間は人によって異なりますが、数年で軽くなる人もいれば長く続く人もいます。
ホルモン変化だけでなく、生活環境やストレスなども影響するため、期間を一律に決めることはできません。
更年期症状か病気かはどう見分ければよいですか?
更年期の時期にはさまざまな不調が起こりやすくなりますが、他の疾患が隠れている場合もあります。
急に症状が強くなった、日常生活に支障が出る、これまでにない症状が現れたなどの場合は、医療機関への相談を検討することが大切です。
更年期症状は生活習慣で改善できますか?
睡眠、運動、食事、ストレス管理など生活習慣の見直しによって症状が軽くなることがあります。
ただし、症状が強い場合は医療的な支援が必要になることもあります。
更年期症状にはサプリメントは効果がありますか?
サプリメントは対策の一つの選択肢ですが、すべての人に同じように効果があるわけではありません。
目的や体質を考えて選ぶことが大切です。
(※エクオール記事へ内部リンク)
更年期症状は我慢するしかないのでしょうか?
更年期は自然な変化ですが、強い症状を我慢し続ける必要はありません。
医療機関や専門家に相談しながら、自分に合った対策を見つけていくことが大切です。
まとめ
更年期症状は人それぞれ異なり、現れ方や強さもさまざまです。
身体の変化だけでなく、心や生活環境の影響も受けながら現れるため、自分の状態を整理しながら無理のない対策を選ぶことが重要です。
不安を一人で抱え込まず、必要に応じて医療機関や専門家に相談することも大切な選択肢です。
