
40歳以上で出産した人は、更年期が近いことを知っておいてほしい
― 産後と更年期が重なりやすい理由を助産師が解説 ―
はじめに
近年、40歳を過ぎてから妊娠・出産を経験する女性は増えています。
それは決して特別なことではなく、自然なライフスタイルの変化のひとつです。
ただ、助産師として、そして更年期支援に関わる立場として、40歳以上で出産した方に、ぜひ知っておいてほしいことがあります。
それは、産後の体の回復期と、更年期への移行期が重なりやすいという事実です。
これは不安をあおる話ではありません。
「正しく知って、早めに対策するため」の大切な視点です。
40歳以上の出産で、体の中では何が起きているのか
女性の卵巣機能は、個人差はありますが、30代後半から少しずつ低下していきます。
その時期に妊娠・出産をすると、
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妊娠中の大きなホルモン変動
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出産後の急激なエストロゲン低下
が起こります。
これは若い年代の出産でも同じですが、40歳以上の場合、その後に控えている「更年期のホルモン低下」と距離が近いという特徴があります。
そのため、産後の回復が十分でないまま、更年期に向かっていくという状況が起こりやすくなります。
「産後だから仕方ない」と見過ごされやすいサイン
40歳以上で出産した方から、よく聞く声があります。
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産後の疲れがいつまでも抜けない
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月経がなかなか戻らない、周期が不安定
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気分の落ち込みが続く
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手指や関節の痛みがある
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寝ても回復しない
これらは、「年齢のせい」「育児疲れ」と片づけられがちです。
しかし実際には、更年期の入り口に差しかかっているサインであることも少なくありません。
産後と更年期が「連続して起こる」ことがある
以前のブログでもお伝えしたように、産後は一時的に更年期と似たホルモン状態になります。
40歳以上の場合、
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産後のホルモン低下
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更年期に向かうホルモン変動
この2つが時間的に重なりやすいため、
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産後うつが回復しきらないまま、更年期症状へ
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産後の関節痛や尿もれが、そのまま続く
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体調不良が「長期化」する
といった経過をたどることがあります。
これは「体が弱いから」でも「努力が足りないから」でもありません。
ライフステージ上、起こりうる自然な流れです。
月経の変化は、重要な健康サイン
40歳以上で出産した場合、月経の再開や周期の変化は特に重要です。
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産後1年以上たっても月経が再開しない
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授乳を終えてから3か月以上再開しない
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一度再開したのに、3か月以上来ない
このような場合、エストロゲンが少ない状態が続いている可能性があり婦人科の受診をお勧めします。
エストロゲンは、
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骨
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血管
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関節
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脳
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粘膜
を守る大切なホルモンです。
月経の変化は、「次の妊娠」だけでなく「将来の健康」のサインとして受け取ってほしいのです。
更年期対策は「もう始まっている」と考える
40歳以上で出産した方にとって、更年期対策は「まだ先の話」ではありません。
✔ 産後の体をきちんと回復させる
✔ 不調を我慢しない
✔ 定期的な健康チェックを受ける
これらはすべて、更年期を軽く過ごすための準備です。
パートナー・家族と共有してほしいこと
40代出産後の体調変化は、本人の努力だけでどうにかなるものではありません。
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正しい知識を共有する
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「見えない不調」を言葉にする
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早めに相談できる環境をつくる
これが、回復の大きな支えになります。
Q&A
Q1. なぜ40歳以上で出産すると、更年期が近いと言われるのですか?
女性の卵巣機能は、個人差はありますが40代に入ると徐々に低下していきます。
その時期に妊娠・出産を経験すると、産後のホルモン低下と、更年期に向かうホルモン変動が時間的に近くなります。
そのため、産後の回復期と更年期への移行期が重なりやすいのです。
Q2. 40歳以上で出産した人は、必ず更年期症状が重くなりますか?
いいえ、必ずではありません。
ただし、産後の回復が十分でないまま更年期に入ると、不調が長引きやすくなることがあります。
正しく知り、早めに整えることで、更年期を穏やかに過ごすことは十分可能です。
Q3. 産後の不調と更年期の不調は、どう違うのですか?
産後の不調も更年期の不調も、どちらもエストロゲンの低下が関係しています。
40歳以上の場合、産後の不調が完全に回復する前に更年期に移行することで、
「産後の不調がそのまま続いているように感じる」ことがあります。
Q4. 40代出産後に、特に注意したほうがよい体のサインはありますか?
以下のような状態が続く場合は、注意が必要です。
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産後1年以上たっても月経が再開しない
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断乳後3か月以上たっても月経が戻らない
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月経が不規則になった
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気分の落ち込みや不安感が続く
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関節や手指の痛みがある
これらは更年期の入り口のサインであることもあります。
Q5. 月経が戻らないことは、更年期と関係しますか?
はい、関係することがあります。
月経が戻らない状態は、エストロゲンが低い状態が続いている可能性を示します。
エストロゲンは骨や血管、脳を守る役割があるため、月経の有無は将来の健康を考えるうえで重要な指標です。
Q6. 40歳以上で出産した人は、更年期対策をいつから始めればよいですか?
産後すぐから意識してよいと考えられます。
更年期対策は「症状が出てから」ではなく、
産後の体をしっかり回復させることが最初の一歩です。
Q7. 産後だから様子を見ていても大丈夫でしょうか?
短期間の不調であれば経過を見ることもありますが、
生活に支障がある不調や、月経異常がある場合は、我慢せずに医療機関へ相談することが大切です。
「産後だから仕方ない」と放置しないことが、将来の健康につながります。
Q8. 40代出産後、日常生活でできるケアにはどんなものがありますか?
基本的な生活習慣がとても大切です。
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十分な睡眠
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ストレス管理
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冷え対策
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適度な運動やストレッチ
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骨盤底筋トレーニング
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定期的な健康診断
これらは更年期症状の軽減や健康寿命の延伸につながります。
Q9. 更年期症状が心配な場合、どこに相談すればよいですか?
まずはかかりつけの産婦人科で相談することをおすすめします。
必要に応じて、更年期外来や女性外来を紹介されることもあります。
一人で抱え込まず、専門家に相談することが大切です。
Q10. 助産師が40歳以上で出産した人にこの話を伝える理由は何ですか?
妊娠・産後は、女性が自分の体と向き合う大切な時期です。
40歳以上で出産した方は、産後と更年期が地続きであることを知ることで、不調を「年齢のせい」「自分のせい」にせず、適切に対処できるようになります。
あまり知られていないことですが、女性の生涯の健康の観点からはとても大事な話だからです。
まとめ
40歳以上で出産した人は、
産後=回復期
更年期=ずっと先
ではありません。
産後と更年期は、地続きです。
以前のブログでお伝えした「今の健康が、20年後の健康につながる」という視点は、40歳以上で出産した方にとって、より現実的で、より重要な意味を持ちます。
今の体を大切にすることが、これからの人生を支えます。

