更年期の女性がめまいを訴えることは少ないことではありません。
更年期の女性は、エストロゲンの減少やストレス、病気などでめまいを引き起こしやすいことがわかってきています。
ここではなぜ更年期にめまいが起きるのか、めまいが起きた時にどうすれば良いのかをお伝えします。
私も40歳前半で、急にめまいに襲われました。
その時の様子をこちらのコラム書いています。
私のようにいきなり、めまいが起きると不安にかられますね。更年期のめまいは、いろいろな要因が絡み合っています。
更年期とめまい
日本女性心身医学会のHP には
「めまい(眩暈)は目が回ること・目がくらむことと説明され、現代のストレス社会においては不定愁訴の一つとして中高年女性のみならず若年女性にも増加傾向にあります。」と書いてあります。
更年期における「めまい」を感じる頻度は、調査によって違うようです。
10%という調査結果もあれば34.4%という調査結果もあります。
「更年期障害とその症状に関する調査 株式会社Qlife 平成25年2月」では、34.3%になっています。
私が聞く限りでは、一過性のめまいも含めると結構な人が「経験した」もしくは「今もフワフワとする」と言っています。
なぜ、更年期にめまいが起きるのか?
エストロゲンが減少するとカルシウム代謝異常が生じます。
(骨量の低下を引き起こす事象でもあります)
すると三半規管にある耳石量(耳石は骨)が減少したり変形することで動きやすくなって、頭を動かした拍子に剥離して良性発作性頭位めまい症がおきやすくなると言われています。
実際に更年期障害を訴えて耳鼻咽喉科を受診した方のめまいは良性発作性頭位めまい症が56.2%、メニエール病が17.8%だったそうです。
40歳代前半は、エストロゲンが減少し始めるころですから、めまいと関係しているのですね。
めまいが起きたときにすること
めまいは、急に起きます。めまいが実際に起きたときにどうするかを心構えとして知っておくといいですね。
①まずは動かない。
横になれる場合は横になりましょう。
私のように寝ていたときに起きればよいですが、もし出かけ先、仕事先でめまいに合ったら、まず
は動かないこと。歩いていたら立ち止まる、そして座りこみましょう。
自分の身の安全を確保してくださいね。もし動けないようであれば、助けを求めましょう。
すこし動けるようであれば横になります。
ただし自分一人で移動するのも危険なときがありますので、人の助けを借りましょう。
②どんなめまいか、確認します。
そんな余裕がない・・と思われるかもしれませんが、そのあとの診断につながる大切な情報です。
「ぐるぐる」、「ふわふわ」、「クラッ」、どんなめまいでしたか?
めまいが起きた時間帯、めまいが継続していた時間、めまい以外の症状があったか(頭痛・吐き
気・耳鳴りなど)なども、あとでもいいのでメモをしておきます。
③貧血、高血圧、心臓病、糖尿病などのお薬を飲み忘れていませんか?
もし、飲み忘れていたら、薬を飲み症状が落ち着くのを待ちましょう。
ただし吐き気が伴う時は無理して飲まないほうがいいでしょう。もし吐いてしまうと、体に入った
実際の薬の量がわからなくなります。
処方されている病院に連絡して対処法を教えてもらうといいかと思います。
④ 安静にできそうでしたら、部屋を暗くする・目を閉じる ・頭を動かさない ・体を締め付けているものをゆるめるなどをして、休みましょう。
受診するタイミング
めまいが起きている時は、一刻も早く受診したほうがいい場合と、少し落ち着いてからでもいいので、受診するという場合があります。
救急車を呼ぶ場合
もし、ろれつが回らない、気を失いそうになる、手や足がしびれている、物が二重に見えるなど、見える景色がいつもと違う、経験したことのない強い頭痛・吐き気・耳鳴りなどがある、はたから見て片側だけ口角が下がっている、眼瞼が下がっている、よだれがでていうような場合は、救急車を呼びましょう。
迷ったときは、「7119」に電話をして聞いてみましょう。
7119とは「ご自身では判断できずに救急車を呼ぶか誰かに相談したい。」、「こんな症状だけど急いだ方がいい?」「何科の病院に行けばいいの?」など、電話で医療相談のできる窓口です。
もし、何かの病気で受診している病院があれば、担当の先生に相談してみるといいでしょう。もともとの病気がめまいの原因になっているかもしれません。もし、関係がないようであれば、次の診療科への紹介状を書いてもらうこともできます。
どこを受診するか
めまいに関わる診療科は主に耳鼻咽喉科、一般内科、神経内科、脳神経外科、心療内科等があります。
一般的には、めまいの診療科は耳鼻咽喉科になります。
耳鼻咽喉科の医師も、それぞれ専門が違ったりします。
できれば、めまい専門の医師に診てもらうほうが、早く治療を受けることができますね。
今は、こちらで調べると、めまいの専門知識および基本的な診療技術を備えていると一般社団法人日本めまい平衡医学会が認定した医師がわかりますので、参考にしてみてください
受診から診断まで
めまいによる病名の診断は難しそうです。
いろいろな原因で起こることと、解明していないことも多いのではないかと思われます。
少し難しいのですが、「急性期めまい診療のフローチャート」からのフローチャート図を載せておきます。
医師が、何を原因と考えてどんな検査をして、どう診断したかが理解するのに参考になるかと思います。
また、めまいを症状とする主な疾患のガイドラインを載せておきます。
変に要約してしまって誤解が生じないようにしました。
メニエール病・遅発性内リンパ水腫診療ガイドライン2020年度版
更年期のめまいで、あてはまるのかな・・と思われるのが、良性発作性頭位めまい症と持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)です。
持続性知覚性姿勢誘発めまい(PPPD)は、慢性めまいの原因として、2017年に定義された新しい疾患概念です。
こちらのクリニックの先生の説明がわかりやすく感じました。
https://kaede3387.jp/column/etc-disease/1158/
良性発作性頭位めまい症やPPPDと言われたら
まず、薬物治療がありますので、治療することを検討してください。
少し落ち着いたら運動療法として「寝返り運動」を勧められることが多いようです
寝返り体操については、NHKのこちらが動画もあってわかりやすいかと思います。
耳石による「良性発作性頭位めまい症」解消と予防の寝返り体操
私は一度、ぐるぐるとしためまいがあってから、同じようなめまいはありませんが、目を急に動かしたり、首を急に動かすと、ふわっとしたり吐き気が出たりすることは時々あります。
なるべくめまいを誘発するような動作を避けるというのも、ひとつです。
また、どんなときにめまいが起きるのか、めまいが起きた時間帯、めまいが継続していた時間、めまい以外の症状があったか(頭痛・吐き気・耳鳴りなど)、きっかけになるようなものがあったか、その日の睡眠時間、その日の行動、その日の天気や気温、月経周期などをメモにして、俯瞰してみるのも自分のめまいを把握することにつながります(もちろん診断の情報にもなります)
更年期のめまいは、エストロゲンが減少が原因になることもありますので、専門の医師を受診して、診断がつかない、原因不明、老化と言われたら婦人科を受診してみるのも良いかと思います。
婦人科の選び方については、こちらのコラム「婦人科の選び方と受診のタイミング・受診時のポイント」をご参照ください。
治療の必要な病気がなければ、更年期症状と理解し、更年期障害の治療を試みるのも一つです。
或いは、生活習慣を見直して、生活習慣を整える、マイペースで過ごすというのもいいですね。
原因がわからないと不安になりますが、原因がわかると安心して次のステップに進むことができます。
特に更年期の女性はめまいについて、はっきりとした診断がつかず不安に持っている人が多いように思います。
その参考になればと思い、今回コラムを書きました。
お役に立てることができれば嬉しいです。
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