HRT コラム ホルモン補充療法 更年期障害

ホルモン補充療法とは

だいぶ身近になってきたホルモン補充療法ですが、まだ詳しくは知られていない治療方法です。

婦人科を受診しても、医師もそれほど詳しく説明する時間もありませんので、一部の患者さんには、途中でやめてしまったり、周りに止められたり、不安を感じている方も少なくはありません。

ホルモン補充療法も正しく理解し、受療できれば女性の更年期以降のQOLは格段に上がると、私は思っています。

私自身、ホルモン補充療法を継続しており、いろいろな経験もしています。

また、相談に来た方からもいろいろな処方をお聞きしています。

ここでは、正しくホルモン補充療法について理解し選択のひとつにいれることができるよう、詳しくお伝えしようと思います。

シリーズになります。

 

1回目は「ホルモン補充療法とは?」です。

 

 

ホルモン補充療法は、更年期障害の治療法の一つです

更年期を迎え、不足になったエストロゲンを補充する治療法です。

似たような言葉に、乳癌の時に使われる「ホルモン療法」がありますが、ホルモン依存性の乳がんの増殖を促す女性ホルモン(エストロゲン)が働かないようにする治療法です。

全く逆の作用になります。

更年期障害の治療法のひとつです。

 

更年期障害とは

更年期に現れるさまざまな症状の中で他の病気に伴わないものを「更年期症状」といい、その中でも症状が重く日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」と言います。

日本産婦人科学会より

 

身近になってきたホルモン補充療法だけれど

ここ数年で、だいぶ馴染みのある治療法になったきたなぁと感じます。

しかし、ホルモン補充療法をするか、しないかといえば、まだまだ「しない」を選ぶ方が多いのが事実です。

私が、今回コラムでホルモン補充療法のことを詳しく書こうと思ったのは、この治療法のメリット・デメリットを知らないまま、ただ何となく「いやだから」「こわいから」「どんなに辛くても薬は嫌」と正しい情報がないまま、「しない」を選択して、人生の後半を辛いもの・・にしてしまっている人が多いからです。

更年期を過ぎた方が、ハイジアの講演や講座を聞いてくれて話されるのが「そんな治療法があるなんて知らなかった」「ホルモン補充療法は怖いものと思っていた、もっと早く今日のような話をきいていたら治療を受けたのに・・」という後悔の言葉でした。

もちろん、治療を受けるかどうかを決めるのは自分です、でも決めるには情報が必要です。

多くの著書やネットに、ホルモン補充療法のことが書かれていますが、書いているのはほとんどが医師です。

検索しても医師の書いたものが上位になるので、このコラムまでたどり着いて読んでくれているあなたには感謝致します。

でも医師には書けないことや、体験していないとわからないこともあります。

私は、医師ではないけれど、助産師で医療者であり、更年期の認定資格”ウィメンズヘルスアドバイザー®”であり、治療を実際に受けている患者として、また、相談を受けてきた立場として、ホルモン補充療法についてなるべくわかりやすいようにお伝えします。

 

ホルモン補充療法とは、どのようなものか?

ここでいうホルモンは、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンのことです。

子宮を摘出している・・という方はエストロゲンのみ

子宮のある方はエストロゲンと黄体ホルモンが、補充されることになります

略して「HRT]といいます。

HRT

Hormone Replacement Therapy  の略になります。

Hormone とは、エストロゲン、プロゲステロンの女性ホルモンを指します。

Replacementは「補充」

Therapy  は「治療」

 

以降、ホルモン補充療法のことは、HRT(ホルモン補充療法)として書きますね。

年齢を重ねると卵巣の機能が停止し、エストロゲンとプロゲステロンが生成できなくなり、急激な減少に身体が適応できず起きてくるのが更年期症状

更年期症状が強く日常生活や仕事に影響がでてしまう状態を更年期障害といい、HRT治療の対象となります。

更年期障害は、女性ホルモン特にエストロゲンが欠乏して起きてくるので、「不足しているなら外部から補充しよう!」「急激な減少を和らげよう!」というのが、この治療です。

HRT(ホルモン補充療法)の補充する量はどのくらい?

ホルモンを足すという意味では、ピルを思い浮かべる方もいると思いますが、ホルモン補充療法で補充する量は、ピルに比べると極少量です。

どのくらい少ないか・・というと・・

男性にもエストロゲンがあります。

30~50pg/mlという量でごく少量です。

ちょっと衝撃的ですが、女性の更年期にはエストロゲンの量が男性より少なくなります。

つまり、30~50pg/ml以下ということ。

婦人科を受診して検査の結果、「ゼロに近いと言われましたー」と嘆いている方が多いです。

HRT(ホルモン補充療法)は、ゼロ近くまで減ったエストロゲンを、この男性並みになるくらいに足すだけ・・・

ある講座でこの話をしたところ、「生きるのに最低必要量ということですね」と受講者が言っていました、その通りなんです、最低限の量なんです。

他のホルモンは自分の食事や運動・睡眠などの努力で分泌を促すことができるものもありますが、更年期の女性ホルモン減少は、自分の努力ではどうすることもできません。

 

更年期入る前にHRT (ホルモン補充療法)について知っておく

もともと体にあるホルモンを必要最低限レベルまでに補う治療です。

この治療で、症状が良くなり「元の自分に戻れた・・」「元気に働ける」という声も、私はたくさん聞いてきました。

ホルモン補充療法を受けるには、医師の診察・処方が必要です。

(ネットではホルモン補充療法の薬が売買されているのを見かけますが、危険ですので、医師からきちんと処方してもらってください、金額的にもこれが一番安いですから)

私が理想としているところは、更年期に入る前に、更年期に関する正しい情報を得ておき、更年期に入ってもし更年期障害になったらどのような治療法があって、何を選択するか考えておくことです。

そして、かかりつけの婦人科医を見つけて、一番良いタイミングで最良の治療を受けれるように準備しておくのが、いいですね。

更年期前の方が、ハイジアの講座を受けた感想には「今まで漠然と更年期が怖かったけど、講座を聞いて怖くなくなった」「更年期の過ごし方がわかって、自分の更年期がどうなのか楽しみになった」という声も聞きます。

 

HRT(ホルモン補充療法)の主な治療薬

治療薬は、女性ホルモンであるエストロゲンとプロゲステロンのことです。

子宮を摘出している・・という方はエストロゲンのみ

子宮のある方はエストロゲンとプロゲステロンが、補充されることになります。

 

エストロゲンの薬には、飲み薬と貼り薬と塗り薬があります。

 

薬品名 長所 短所
飲み薬 ・毎日の習慣化ができれば飲み忘れが少ない ・肝臓に負担をかける

・体内の薬の濃度に変動があり飲み忘れがあると効果が一時的にさがる

貼り薬 ・体内の薬の濃度が一定

・肝臓に負担をかけない

・皮膚のかぶれや痒みがある

・貼り換え忘れがある

塗り薬 ・皮膚のかぶれや痒みが少ない

・体内の薬の濃度が一定

・肝臓に負担をかけない

・毎日の習慣ができれば、塗り忘れはない

・塗布後、衣服に薬が付着し、有効な量にならないことがある

 

子宮摘出術を受けた人は、このエストロゲンのみを使うことになります。

子宮のある人は、エストロゲンの働きで子宮内膜が増殖しそのままだと子宮内膜ガンになるので、黄体ホルモン(=プロゲステロン)を使って、子宮内膜を排出します。

なので、生理様、或いはもっと少ない量ですが、出血があります。

エストロゲンを持続的に投与して、プロゲステロンを周期的に投与するとプロゲステロンを飲むのをやめる前後で、出血します。

出血は予測できます。

メノエイドコンビパッチは、エストロゲンもプロゲステロンも持続的な投与なので、いつ出血するかわからず、予測ができません。

それが、イヤと言ってやめてしまう人もいますね。

私は、最初からメノエイドコンビパッチを使っていて、不規則に出血していました。

でも、少量ですし、これで子宮内膜ガンを予防できるのだからと思い苦痛ではありませんでした。

また、出血するということは、子宮がまだ若いということ。

代理母もできるかもしれない・・なんて思っていました。

以前、松坂慶子さんが娘の子を代理母をするドラマがあったのですが、子宮だけでいうとエストロゲンを投与すれば、妊娠は可能なのですね。

出血はやがてなくなるのですが、「せっかく生理がなくなったのに、出血するのはイヤ」という方は、出血しない方法もあるので、医師に相談してみてください。

*トピックスで書いたサーム(SERM)は出血しませんが、それを知っていて使う先生はあまりいません。

プロゲステロンには、単独ではプロベラ、ヒスロン、ディファストンがあります。

メノエイドコンビパッチやウエナーラはエストロゲンとの混合剤です。

乳癌のリスクは、プロゲステロンの種類と治療期間に関連しているので、現在では、より乳癌リスクの低いディファストンが使われることが多いですね。

日本では、乳癌リスクの低い天然型のプロゲステロンが認可されていませんが、一昨年臨床試験(協力しました)が行われていますので、近いうちに天然型のプロゲステロンが使えるようになるかもしれません。

また、投与方法として、持続法と周期法があります。

2つのホルモン剤の組み合わせ、2つの投与法の組み合わせはたくさんあります。

その人の状況によって少しずつ選択する薬の組み合わせが変わることがあります。

今まで婦人科を受診して、HRT(ホルモン補充療法)を始めた方の話を聞くと、先生によって処方される薬や、投与する方法にその先生の好みが反映されると感じています。

たとえば、閉経前はHRT(ホルモン補充療法)はしないという先生

ジェルから始める先生

メノエイドコンビパッチから始める先生

周期法で始める先生

など、それぞれ処方に個性がでます。

閉経前はHRT(ホルモン補充療法)はしないというのは、更年期症状は閉経の前から現れ辛いのに、必要な治療をしないのは、私には理解できません。

ですから、HRT(ホルモン補充療法)を希望する方で、まだ閉経前の方には、そのクリニックはお薦めしていません。

メノエイドコンビパッチは、先に書いたように出血するので、説明が必要です。

その説明が面倒くさいから、メノエイドコンビパッチを使わない先生もいます。

飲み薬、貼り薬、ジェル剤、どのような特徴がある薬を使うか、本来は先生が好みで選ぶのではなく、治療を受ける人が、自分に合わせて選ぶべきと思っています。

そのためには、患者さん側もきちんと治療について理解しておくことが必要ですね。

エストロゲンの周期法は、HRT(ホルモン補充療法)を休む期間があるので、その間更年期症状が再燃することがあり、わざわざ辛い期間を作ることに、私としては賛成できません。

この方法で処方する先生は、いつも同じ先生で、今まで数人から「休むとその間が辛い」と相談を受けています。

その時は、そのまま「休むとその間が辛い」と先生に話してみることをお薦めしています。

話すとすぐ持続的な方法に変更してくれます。

「効かなかった」「胸が痛くてやめた」「出血が嫌でやめた」という声をよく聞きますが、いろいろな薬や使い方があるので、あきらめないで医師に相談してほしいと思います。

 

ハイジアに相談に来られる方は、すでに受診してHRT(ホルモン補充療法)を勧められたけど、どうなんだろうとか、HRTをしているがトラブルがあって・・という方も多いです。

また、受診してもなかなか詳しい説明までしてもらえないのが現状です。

そんなときこそ、ハイジアの相談サービスをご利用ください。

 

 

トピックス

1.プロゲステロンの代わりに、骨粗鬆治療薬のサーム(SERM)を使用する医師もいます。SERMには子宮内膜保護作用があると言われています。TVにも良く出演している山王メディカルセンターで女性医療センター長太田博明先生に学会でお会いしお話したときも、ホルモン補充療法には、SERMを使うのが良いと言われていました。実際にSERMを処方している医師もいます。まだ、更年期障害の治療薬としては、スタンダードな薬ではありませんが、今後その有効性が証明されてくる可能性があります。

2.ミレーナは、合成黄体ホルモンであるレボノルゲストレルを子宮内に直接放出する子宮内避妊システムですが、これをHRTのプロゲステロンの代わりに使うということもあります。

この場合は、エストロゲンのみ使用すればよいので、患者にとっては楽になります。

しかし、現在ミレーナは避妊に使うもので、更年期障害の治療としては保険診療にはなっていません。子宮内に装着すると5年間作用するので、最初避妊目的で使用し、途中からHRTのプロゲステロンの代わりに使うのは可能なようですが、タイミングが難しいですね。

また、子宮内に挿入する時に、子宮口のゆるみがないと痛いので、経腟分娩の経験者が対象となります。

 

SERMやミレーナなど、今後更年期障害の治療の研究が進むなかで、スタンダードな治療薬になる可能性があります。

更年期障害の分野は、まだまだ未知なことも多い分野ですので、今後の動きに注目したいと思います。

 

 

 

 

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