「手の指の関節が痛い」、それは更年期症状です
50歳前後に起こる手の指の関節が、ズキズキと痛い、曲がってきた・・は更年期症状のひとつです。
ばね指、ドケルバン症候群、ヘパーデン結節、ブッシャール結節、拇指CM関節症、主根菅症候群などの診断がついた方もたくさんいます。
しかし、整形外科を受診しても、今までは「歳のせい」「指の使い過ぎ」「我慢するしかない」「あきらめなさい」と言われ、我慢を強いられてきた辛い症状でした。
この症状は女性ホルモンが減少することで起きる症状で、最近予防法も対処法も治療法もわかってきました。
もう、我慢しなくてもいいのです。
その方法をお伝えしますね。
この記事は、2020年10月に書きましたが、新しい知見を2021年6月に追加しました。
私が、講演や講座で、「指が痛い」「指の関節が赤く腫れている」「指が曲がってきた」「指がしびれる」「指がこわばる」これらは更年期症状のひとつです、というお話をすると、「私も痛いです」「私も指が曲がっています」「うちの母が痛がっていました」「リウマチかと思っていました」という人が非常に多いのです。
そして、病院に行っても「歳のせい」「指の使い過ぎ」「我慢するしかない」「あきらめなさい」と言われましたと話されます。
指の関節が痛いのと更年期は、なかなか結び付きませんよね。
なぜ、更年期になると指が痛くなるのでしょうか?
エストロゲンが減少すると指が痛くなる
2018年に四谷メディカルキューブ 手の外科・マイクロサージャリーセンターの平瀬雄一先生が、女性の指の病気は更年期以降に多く、エストロゲンの減少が原因ではないかと考えホルモン補充療法やエクオールサプリメントを試したところ改善されたというお話をしてくれました。
先生のお話の概略は次のようなことです。
「変形性疾患のことで整形外科を受診するのは、90%が女性、その女性の90%が更年期の女性です。」
「指の痛みで受診した女性に更年期の症状ありましたか?の問いにほとんどの人が、私には更年期症状はありませんでした・・と答えます。」
「手の痛みや関節痛を更年期症状とは知らず、ホットフラッシュはないから更年期ではないと思って婦人科を受診せず、更年期の治療や対処を受けずにいてしまうのだそうです。」
更年期には、エストロゲンが急激に減少しますが、他にも減少する時期があります。
それは、一つは「産後」ですね、私が病院で働いていた時、産後のスタッフが指が痛いといっていたことが何度かありました。
妊娠中は胎盤から大量に出ていたエストロゲンが、お産で胎盤がでてしまうと、急激に減少してしまいます。
妊娠中は、卵巣はお休みしていますので、産後すぐに卵巣の働きが復帰ししてエストロゲンを分泌してくれるわけではありません。
なので、この時期に手指が痛いの他にも、うつ症状が出たり、イライラしたり更年期症状と同じような症状が出現することがあります。
他にも、ストレスフルな状態になるとエストロゲンが作られないし、ダイエットや病気で急激に体重が減少したときも卵巣の機能が落ちてエストロゲンが作られなくなります。
このようなときに「指が痛い」という症状があり整形外科を受診しても「使いすぎ」「歳のせい」「治らない」と言われてしまいます。
平瀬先生は、こう話されていました。
「使いすぎならば、利き手に起きるのに、利き手ではないのに痛いのはなぜか?歳のせいというけれど、80歳過ぎから指が曲がる人はいない」
腱鞘炎などは、授乳期や更年期のエストロゲンが減少しているときが多い
とても印象的だったのは、『「使いすぎ」「歳のせい」「治らない」と、言ってしまうことは、「その不用意な発言が患者に思考停止をさせ、新たな関節変形の発症に加担している』と話されていたことです。
医師の一言が、更年期以降の女性の人生を変えてしまう・・と常々、私も思っていることです。
もう一つの指が痛い原因ーエクオールを作ることができない
本当に指が痛くてもどうすることもできずに苦しんできた女性が、いままでにどれだけたくさんいたのだろうと思うと胸が痛みます。
そして、どうして更年期に手の病気に罹ってしまうのか?そのもうひとつの答えは、「エクオールを産生できないから」だそうです。
エクオールは、エストロゲンに似た働きをしてくれる成分です。
エストロゲンが減少しても、このエクオールを自分で作れる人は、「指が痛い」という症状が出にくいのです。
そこで、エクオールのサプリメントを飲んだ貰ったら変形が進んでしまう前なら、効果があったそうです。
以前アメブロにも書いたことがありを読んでくださった方たちから、「おかあさんがそうだった・・人前に手を出せなくなった」などと聞きました。
とくに指が変形してしまうと、女性に与える影響が大きいのですね。
包丁を持ちにくい、瓶の蓋が開けれない、おしぼりを絞れないなど、食事を用意することに支障がきた。
また、手芸が趣味だったのに、指が痛くてできない。
接客業なのに、お客様に手を差し出せなくなった・・などなど
ですから、強張りや痛みが出てきたら、エクオールを飲んでみることはそれ以降のQOLを低下させることを予防してくれると、私は思っています。
対処方法ー痛くなったら、まずはエクオールのサプリメントを摂ってみましょう
ここまで読んで、「私も」と思った方が多いかもしれません。
まずは、エクオールのサプリメントを飲んでみることをお薦めします。
ただし、現在エクオールのサプリメントは非常に多く販売されていて、中には改善が期待されるのに必要な量が入っていないものや、全く入っていないのに商品名にエクオールや類似した言葉をつけている場合があります。
どのようにエクオールのサプリメントを選べばよいか、こちらに詳しく書いていますので、ご参照ください。
それから、サプリメントや漢方薬というのは、急激に効くものではなく、徐々に作用するものですから、最低でも3ヶ月は様子をみてくださいね。
対処方法ー痛くなったら、セルフケアもしましょう
1.温めましょう!
エストロゲンもエクオールも血液中に入って、各々の細胞に送られます。
指は、身体の中で先端部分、露出している部分で、冷えやすいところです。
冷えていると血液は十分回ってきませんから、指の関節に働くエストロゲンやエクオールが隅々まで回らなくなってしまいます。
更年期では特に自律神経がアンバランスになり交感神経が優位になると血管は収縮しやすく余計、血液が届かなくなってしまうのですね。
①手袋をつける (寝ている時だけでも)
エアコンが効きすぎ‥の中で仕事をしているときは、長そでにするとか、指先が出せる手袋
をするなど工夫の余地がありますね。)
②ゆっくりお風呂に入り、身体全体を温める
手浴もいいですね、好きなアロマオイルをいれると、リラックスもできます。
③リラックスする (副交感神経を優位にする)
2.冷やしましょう!
温めると真逆ですが、指を使い過ぎたような場合は、冷やします。
このようなときは指の関節で炎症がおきているので、炎症を抑えるのに冷やします。
と、いっても流水で冷やす程度でいいようです。
今、新型コロナウィルス感染があって、手洗いをこまめにしていると思いますが、その時に温水ではなく、お水で洗うと一石二鳥かも。
3.テーピング・装具
痛みがひどい時や、炎症が起きている時(関節が赤くなって腫れているとき)に、指を動かさず、安静にすることで痛みを軽減したり、炎症を抑えることができます。
テーピングや装具に関しては、わかりやすい動画がありますので、参考にしてください。
紹介されていたテープ・装具類の購入方法です。
見ているといろいろなテープがあり楽天やアマゾンなどネット購入できるものもたくさんあります。いろいろと試して自分に合ったテープを探すといいですね。
3M コーバン自着性弾力包帯 https://www.3mcompany.jp/3M/ja_JP/p/dc/v000482516/
ヘパーデンリング https://www.nousaku.co.jp/medical/heberden-ring/
ヘバループ https://www.muranaka.co.jp/online/products/detail.php?product_id=94416
竹虎 ワーデル http://www.taketora-web.com/medical/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%AB-2/
キネシオテープ https://www.kinesiotaping.jp/kinesio_tex/
アクティームブライゾフォルテhttps://store.shopping.yahoo.co.jp/wel-sense-shop/10005543.html
CMシリコーン http://www.nakamura-brace.co.jp/product/upper/cm-silicone.html
100円ショップにも似たようなのがありましたので、試してみるにはいいかもしれません。
治療法ー痛みが良くならない時、サプリメントが効果のない時は、 ホルモン補充療法
さて、サプリメントを飲んだけれども、あまりよくならないという方の次のステップは、ホルモン補充療法です。
ただ、残念ながら産婦人科の先生たちや整形外科の先生が、皆、このことを知っているかというとそうではない可能性があります。
まだまだ日本は、更年期の医学は後進国
ですから、手が痛いので変形する前に、治療を始めたいと言っても最悪、手の痛みは「更年期のためではない」と言われ、整形外科の受診を勧められかねません。
実際に、そのように言われた方がいました・・。
では、どうすれば良いかというと、婦人科のすべての医師が更年期詳しいわけではないというのが、現状です。
日本女性医学学会のHPで、住んでいる地域の専門医を探して見てください。
どの病院・クリニックを選ぶか迷ったら参考にしてください
婦人科病院・クリニックの選び方と受診時のポイント
また、手の痛みの他にも症状があれば、全部言いましょう。
(治療ができない場合もあります。)
手の痛みや更年期の症状でどのくらい辛くて、日常生活や仕事をするうえでどのくらい困っているか、具体的に伝えましょう。
ホルモン補充療法に不安を抱く女性も多いのですが、それはホルモン補充療法に関する知識が少ないということもあります。
ホルモン補充療法に関して不安な方は、こちらの記事を参考にしてみてくださいね。
治療方法ー指が変形して生活に支障がある時は、手術という方法もあります
どうやっても、痛い変形してきたという時は、整形外科の手外科専門の先生を受診してみてください。
もうすでに指が曲がっているという方は、整形外科の手外科で手術という方法があります。
平瀬先生がおしゃっていたのは、「手外科専門の医師にもそれぞれ専門があって、中には、「歳のせい」「使いすぎ」という医師がいるかもしれない、その時は専門外なんだと判断して別な医師を受診してください」と言っていました。
私も更年期専門の医師を探すときに、同じようなことを言っています。
詳しくは、こちらのサイトをご覧ください。
ただし、何もしていないと指の変形は他の指も起こってしまうことがありますから、エクオールのサプリメントやホルモン補充療法も一緒に行った方がいいと思います。
私の体験談
私は閉経後1年ほどでホルモン補充療法を開始したので、指の痛みを感じたことはありませんでした。
しかし、途中でホルモン補充療法をお休みにしたときに、この症状がでてきました。
エクオールのサプリメントは、飲んでいたのでエクオールのサプリメントでは、指の痛みを抑えられなかったことになります。
ホルモン補充療法を再開しましたら、指の痛みは取れました。
整形外科の先生の中には、エクオールのサプリメントで効果がない時は、手術を勧めることもあるようですが、その前にホルモン補充療法を試すのも選択肢のひとつです。
手指の痛みを予防する方法
常々、更年期女性のお話を聞いて思うことは、更年期のことを知っているかどうかで、更年期以降のQOLに差がでるということです。
今回の指の痛みに関しても知っていれば、予防もできますし、対処もできますし、適切な時期にホルモン補充療法を受けることができます。
ぜひ、更年期のことを早くから知ってほしいものです。30歳代になったらすぐ、勉強してほしいですね。
産後指が痛かった、お母様の指が曲がっているという方は、予防的に早くから対処を行うのがよいですね。
30歳代から大豆製品を摂るといいと思います。
ただし、エクオールを産生できる腸内細菌を持っていないといくら大豆製品を食べても自力でエクオールを産生できません。
まず、自分がエクオールの産生菌をもっているかを調べてみましょう。
もし、産生菌を持っていれば大豆製品を多く摂ることで、自力でエクオールを産生し、指の痛みを防いでくれます。
また、手を暖かくして、血液の循環をよくしておくということも大事なことです。
もし、エクオールの産生菌がなくて、自分の母親や家族歴(祖母、叔母、姉妹)として指の変形がある場合、産後指が痛かった方は、予防的に40歳すぎたら、エクオールのサプリメントを始めるのがいいでしょう。
エクオールサプリメントは基本的に何歳までも飲むことができます。
(納豆や豆腐を食べるのに年齢制限がないのと同じ)
せっかく医学が進歩して、わかってきたことですから、辛い思いをするよりも恩恵にさずかりましょうよ!
指の痛みに関してハイジアでは個別にご相談をお受けすることもできます。
ハイジアでは、更年期に関する情報を定期的にメールでお届けしています。